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Brave GNU World - 第31号
Copyright © 2001 Georg C. F. Greve <greve@gnu.org>
日本語訳: IIDA Yosiaki <iida@brave-gnu-world.org>
許可声明は以下のとおり

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Brave GNU Worldの新しい号へようこそ。 子供は風の子、 過ぎたるは何とやら、 というわけで(訳注)、 今月はFree Softwareのゲームをとりあえげようと思います。 ですがその前に、 Freeなゲーム一般について一言いいたいことがあります。


訳注: 原文は、 ``all work and no play makes Jack a dull boy''で、 「仕事ばかりして遊ばないと愚鈍な者になる」 いう意味の英語のことわざ。

Free Games?

フリーなゲームは?

サービス需要の小ささとテンポの速い市場のせいで、 Freeなゲームはやや問題のある分野です。 今までのところは、 たとえ若干の企業がGNU/Linuxにゲームを移植するとしても、 独占状態にあります。

もちろん、 ゲームはたいていミッション・クリチカルではなく、 Free Softwareの最重要部分ではない、 というのは真実です。 しかし、 だからといって無意味になるわけではありません。 人々がコンピュータにふれる最初の接点は、 しばしばゲームであって、 コンピュータの「おともだち化」 ("befriending") に重要な役目をはたします。 そして、 かなり往々にしてゲームは、 フリーでないOSをマシンにインストールさせる「必殺機能」であったりします。

もうひとつの点は、 ゲーム産業が革新的アイデアをいろいろな努力で置き替えているように見えることです。 これは精密検査の結果としてあげるのではなく、 非常に主観的な印象かもしれませんが、 初期のゲームはかなり機知に富んだものだったような気がします。

この分野では、 コミュニティーとの対話が、 うっとりするような、 枝わかれのある筋書きへの新しい展望を開くかもしれませんが、 この潜在性を利用したものは、 現われていないようです。

新分野での問題は、 かなり往々にして利用者の基盤のなさですので、 Brave GNU WorldでももっとFreeなゲームをとりあげようと思います。 もしあなたがFreeなゲームで楽しんでいたり、 自分で取り組んでいたりしたら、 ぜひお知らせください [1] 。 またFreeなゲーム専門のポータルについての情報もかなり有用です。 では前置きはこのへんにして、 始めましょう。

Freeciv

Freecivは、 Microprose®のCivilization®というおなじみのゲームをGNU General Public Licenseの下でFreeに実装したものです。

これは文明社会の支配者になり人民を育て繁栄させるゲームだ、 ということを、 上のゲームを体験していない人のために、 いっておきたいと思います。 これは、 資源の発見、 都市の構築、 科学の探究、 そして、 競争相手を窮地に追い込むことに関係しています。 このゲームの特長は、 多くの人にエンディングを見つけるのを難しくする非線形性と連続的発展にあります。

Freecivは、 すでにかなり洗練されており、 できあいの地図とシナリオの中で、 プレーヤは47個の単位と61か国から選択できます。 国際化もされていて、 ゲーム中のヘルプやメッセージをあなたの母語にできます。

Freecivのずば抜けた点は、 Freecivとともに発展してきた、 活発でいきいきしたコミュニティーで、 ここには#freecivというircnetチャンネルで通じます。 ネットワーク (LANやインターネット) 上の人や「人工知能」 (AI) のプレーヤを30人までFreecivがサポートしていることがその大きな理由です。 またFreecivは標準的なUnix全部でうごきますし、 WindowやCygnusのUnix環境をインストールしたOS/2でも同様です。

Freecivはもともと、 Peter Joachim Unold、 Claus Leth Gregersen、 Allan Ove Kjeldbjergによって始められましたが、 今ではThue Janus KristensenとTony Stuckeyが、 管理しています。 それ以外にも、 たいへん驚くくらい多くのボランティアが、 たいてい四半期ごとの改良版に貢献しています。 このリストはオンラインでみつかります [6] 。

Microsoftの利用者は今、 大きな問題に直面していますが、 GNU/Linuxをインストールすれば解決するでしょう。 他の問題としては、 Freeciveへの時間浪費と極度の習慣性ですから、 もしあなたが重要なプロジェクトに取り組んでいるなら、 試すのはプロジェクトの終わった後にしたほうがよいかもしれません。

Brave GNU Worldのロゴの作者、 Stefan Kamphausenが次のプロジェクトをつきとめてくれました。

XWeb

XWeb [7] ではウェブ・ページの内容と構造をXML/XSLで書いて、 HTMLのページを生成することができます。 これは動的ページにくらべ性能を上げるだけではなく、 最少の変更で新しいレイアウトやデザインに切り替えることもできます。 特に、 ページの誘導構造の作成という、 たいてい非常に重要ではあるが、 楽しいことはめったにない仕事は、 XWebの利用で可能になります。

XWebは、 JavaとSaxon [8] を処理系としたXSLTに基づいています。 プロジェクトの一部をのぞき、 メークファイルもふくむすべてはXMLを基にしています。 XWebで作られたHTMLページは、 完全にXWebから独立していますので、 たとえばFTP経由でウェブ・サーバーへ転送できます。

一部のXSL処理系をのぞき、 XWebでは、 Batik [9] を用いた「スケーラブル・ベクター・グラフィック」 (SVG) の外部生成や、 内部の表現系をつうじ、 ボタンやバナーなどの自動生成ができます。

こういった機能は、 XSLTのスタイルシート柔軟性とあいまって、 XWeb独自の強みになっています。

他のプロジェクトでこの機能をみつけることのできなかったPeter Beckerは、 プロジェクトを始め、 推進のほとんどをこなしています。

著作権を他人のもとに移すこともできるので、 「パブリック・ドメーン」という許諾は最適ではないにしろ、 XWebはFree Softwareではあります。 が、 いかなる意味においても、 自由が保護されているとはいえないのです。

将来の計画は、 よく使われるテンプレートの作成と同様、 XSL-FOのサポートも含むプログラムの完成です。 その後、 彼が追加したいと考えていているのは、 アプリケーション固有 (たとえば写真やMP3アルバム) のフロントエンドと、 WYSIWYGツールです。

利用者からのフィードバック同様、 テンプレートとフロントエンドの作者というかたちでの手助けは特に歓迎です。

General Server Pages

Sebastien DevauxによるGeneral Server Pages (GSP) [10] プロジェクトも、 動的な面が強調されていますが、 インターネットに直接関係しています。 いろいろなプログラミング言語での構造的な出力用プログラム これで非常に簡単に作成できるようになります。 CGIアプリケーションの作成では特に役に立ちます。

CGIアプリケーションの作成では、 とある出力を作成するためにややつまらないコードをごりごりと繰り返す、 ということがよくあります。 そのためGSPでは、 XML、 GSP、 お望みのプログラミング言語を出力に混ぜる指定をすることができ、 GSPはそれを、 お望みのHTML、 XML、 SGML、 プレーン・テキストを出力する、 コンパイル可能なソース・コードやスクリプトに変換できます。

これは時間や神経の節約になるだけでなく、 コードの再利用性も上がります。 GSPの現在サポートするプログラミング言語は、 C、 C++、 Bash、 Ksh、 Perl、 JavaScriptで、 言語の追加は簡単です。 GSPでは、 お互いリンクしあったページを含むアプリケーションを作ることができます。

GSPはC++で書かれていて、 GNU General Public Licenseの下で公開されています。 始まったのが2001年2月ですから、 まだやや若いプロジェクトです。 外部のライブラリーの必要なMIME拡張の処理はまだ問題ですが、 この選択は利用者まかせになっています。 いろいろな言語用のモジュールはまだ改良の余地があり、 Sebastienは、 生成されたコードが安全かちゃんと確かめたい、 と思っています。 手助けは歓迎します。

セキュリティーに敏感な分野に使うべきではないとしても、 GCPはすでに機能しており、 一部の人びとの暮らしを楽にはしてくれるでしょう。

GNUクラスパス拡張

GNUプロジェクトと許諾は、 Javaと互換性がない、 という伝説は比較的広く伝わっているようです。 GNUクラスパス拡張 (GNU Classpath Extensions) [11] の管理者、 Nic Ferrierはそのため、 このプロジェクトについて書いてほしい、 と頼んできました。

GNUクラスパス拡張プロジェクト [11] は、 SunのいろいろなJava拡張ライブラリー (javamail、 jaxp、 usw) のFreeな実装でGNUクラスパス・プロジェクト [12] を拡張することを目標とし、 当初Andrew Selkirkにより始められました。 このようなライブラリーは、 Javaプラットホーム用の拡張機能と、 多くの共通な問題にたいする標準的な解一式を提供するものです。 Sunのライブラリーは残念ながらフリーでないので、 Free Softwareでの再実装が必要なのです。

GNUクラスパス拡張は、 Javaと、 ほんの少しだけCで書かれ、 GPLと、 一部にはLesser GPLを使っています。 ベンダー独立のコードの作成は、 プロジェクトの焦点で、 コードはどんな仮想マシン (特にFreeなものも含めですが) の上でもうごかすことができるはずです。

プロジェクトはまだとても新しく、 現時点でのリリースはありませんが、 初版のリリースがすぐにも期待されています。 Nic FerrierもAndrew Selkirkも手助けを非常に感謝するでしょう。

もしあなたが、 JavaまわりのGNUプロジェクトの活動に興味がおありなら、 "GNU and Java"のウェブ・ページ [13] にお立ち寄りください。

IDX-PKI

IDX-PKIプロジェクト [14] は、 IETFのPKIX標準に準拠したFree Softwareとして入手可能な最初の「公開鍵インフラ」です。 これを開発したのは、 フランスの企業であるIdealXであり、 GNU General Public Licenseの下で公開、 管理しています。

おそらく多くの読者にはPKIという用語はなじみがないでしょうから、 かなり簡単ではありますが、 ここで背景となる抽象概念にふれておきたいと思います。

PGPやFreeなOpenPGPの実装であるGnuPGといった、 どんな公開鍵の実装であれ、 利用者は全員、 1組の鍵対をもっています。 この鍵対には、 1本の私有 (private) 鍵と1本の公開鍵があります。 公開鍵はできるだけひろく配布されることになりますが、 私有鍵が利用者の手許を離れることは、 ありません。

私有鍵では、 利用者が (たとえば) 電子メールに署名をしたりできますし、 公開鍵では、 誰でもが署名を検証できます。 公開鍵でメールに署名することはできませんので、 私有鍵の持ち主がメールに署名をしたことが、 受取人にわかります。

しかし、 鍵を作るのは誰にでもできますから、 ある私有鍵がそうだと言い張る人のものだ、 という保証はありません。

この問題の解となるのが、 「認証局」 (CA -- "Certification Authority") です。 利用者の同一性を確認する、 いわゆるトラストセンター群 (TrustCenters) が、 CAとなります。 PKIの主な課題は、 Certification Authorityの提供にあります。

IDX-PKIプロジェクトにより、 どんな企業や組織でも独自のCA構造をもてるようになります。 これにより、 企業と各従業員との信用度とまさに同程度の信用をもたせることができます。 PKIは、 鍵の生成と取消しの役目を集中的にはたします。

PKIは、 同定や認証だけではなく、 情報の秘匿、 データの完全性、 問題がおきた場合の否認防止を提供します。

こういったことは、 多くの企業で重要なのですが、 銀行、 保険、 eコマース市場はここに依存しています。

今やこのような企業は、 IdealXによる大きな貢献であるFree Softwareの解へアクセスすることができます。

元々、 開発チームはOpenCAプロジェクトに加わろうとしました。 ところがOpenCAは単なるCAで、 OpenSSLで証明書を作ったりはできますが、 証明書の管理は提供せず、 完全なPKIというわけではないのです。 そのため、 IDS-PKIは2000年4月に始まりました。

IDX-PKIは、 GNUのユーティリティー同様、 Perl、 PHP、 C、 シェルを使っていて、 改良はまだ続いていますが、 すでに日常活用への準備ができています。 計画中なのは (他にもありますが) 、 いろいろなPKIとの間での安全な通信、 OCSPのサポート、 バックエンド (データベース、 LDAP、 ファイル・システム) が選択可能になるような層の抽象化があります。 また管理もインターフェースごとに別々になります。

というわけで、 待ち行列はまだ残りがありますが、 Benoit Picaudによれば、 顧客はかなりこのプロジェクトに満足しており、 IDX-PKI-v2のスピーディーで相互作用のある開発を積極的に支持しているとのことです。 RFCへの準拠にくわえ、 この強い協力を、 プロジェクトの大きな強みのひとつだ、 と彼は見ています。

このプロジェクトは、 他の多くの企業にとって商業的にも興味深いものがあるので、 手助けを見つけることで問題になるようなことはないでしょう。

今回はこのへんで

これで今月はおしまいです。 興味深い刺激があたえられたのではないかと期待しています。 いつもどおりコメント、お考え、フィードバック、 プロジェクトのご紹介は、例のアドレス [1] へお願いします。

情報
[1] 意見、 批判や質問は Brave GNU World <column@brave-gnu-world.org> まで
[2] GNUプロジェクトのホーム・ページ http://www.gnu.org/home.ja.html
[3] GeorgのBrave GNU Worldのホーム・ページ http://brave-gnu-world.org
[4] 「We run GNU」イニシアチブ http://www.gnu.org/brave-gnu-world/rungnu/rungnu.ja.html
[5] Freecivホーム・ページ http://www.freeciv.org
[6] Freeciv関係者 http://www.freeciv.org/people.phtml
[7] XWebホーム・ページ http://xweb.sf.net
[8] Saxonホーム・ページ http://saxon.sourceforge.net
[9] Batikホーム・ページ http://xml.apache.org/batik
[10] General Server Pages (GSP) ホーム・ページ http://gsp.sourceforge.net
[11] GNUクラスパス拡張ホーム・ページ http://www.gnu.org/software/classpathx
[12] GNUクラスパスのホーム・ページ http://www.gnu.org/software/classpath
[13] GNU Javaホーム・ページ http://www.gnu.org/software/java
[14] IDX-PKIホーム・ページ http://idx-pki.idealx.org

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Copyright (C) 2001 Georg C. F. Greve
Japanese translation by IIDA Yosiaki

日本語訳: 飯田義朗

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(著作権と上の許可告知のある限り、 この写しの逐語的な複製をとって、 配布する許可を認めます。)

Last modified: Wed Sep 19 12:37:42 CEST 2001